2002年9月10日
NO.12 『貧乏脱出大作戦って』

                            社会保険労務士 三宅裕樹
 私はあまりテレビを見ません。せいぜいニュースや天気予報、テレビ東京とNHKの経済番組くらいでしょうか。ですから、最近流行のドラマ等は皆さんの話題に全くついていけません。
 しかし、家族はテレビが大好きですので子供とともに見るとはなしに見ている訳ですが、最近非常に腹立たしく思ったのが「貧乏脱出大作戦」なる番組です。番組の内容は皆さんの方がよくご存知でしょうが、基本的なパターンは、潰れそうな飲食店の店主を、局側で用意した「達人」(調理の名人)に数日間弟子入りさせて、指導を仰ぐ。その結果、その店主が調理に開眼し、潰れそうな店が立ち直る。そんな筋書きでしょうか。
 私とて潰れそうな店が再生する事は喜ばしいことだと思いますが、その「達人」の下で修行するシーンがいかにも「やらせ」なんですね。画面では、涙を流しながら苦労する店主をアップで写しますが私に言わせれば
たった数日間でしょ 数日間で何が出来るの?
と冷ややかに見てしまうのです。

 
私は調理の世界は門外漢ですから何とも言えませんが、一流の店で活躍している優れた調理人は何年もの厳しい修行を積んで活躍をされています。
 私は社会保険労務士ですが、国家資格を取り自分なりに自信が付くまで、約10年はかかりました。仕事ってそんなものだと考えております。
 勿論、年月さえ重ねれば全てOKなどとは思っておりません。しかし、「学問に王道なし」仕事とて同じだと思います。恐らく、かの番組で取り上げられた「潰れそうな店の店主」は、そこまで修行をしたのでしょうか?
 最近、異業種から参入したと思われる飲食店がよく見られます。例外はありますが、殆どが美味しくないです。何故でしょうか? 答えは簡単です。飲食店を作る(建物を作る)事は資金さえあれば簡単です。しかし問題なのは調理人が確保できないのです。多額な支度金を出して有名な調理人を引き抜いても良いのですが、そんな方は、それ以上の支度金を積まれたら即座に辞めてしまいます。その結果店がどうなるかは皆さんのご想像の通りです。
 最近の様に経済状況が厳しくなると、創業されても数ヶ月を待たずして倒産・廃業に追い込まれる例が後を絶ちません。いかなる道でも人様から「名人・上手」(そこまでの人は稀ですが)少なくとも多くの人に愛される商売をしようとすれば、そのご苦労は並大抵のものではありません。私の聞き及んだ例でも「全く酒が飲めない居酒屋の店主」とか「ゴルフを全く知らないゴルフショップの主人」なんてのがあります。安易な発想で創業して間もなく行き詰まってしまう。そんな人が多すぎるように思うのですが。