2002年10月28日
NO.14 『ゆとり のはなし』

                            社会保険労務士 三宅裕樹
 生活においても、仕事においても「ゆとり」を持ちたいものです。 私もそうですが、生来の貧乏性(性・・ではなくて本当に貧乏ですが)故か、いつもセカセカ動き回る生活を送っております。
 数年前、政府が「日本人は働きすぎ!」との外圧に配慮したのか、「週40時間労働」を法制化しました。経過措置はありましたが以前に比べれば、年間で400時間以上の労働時間の短縮になります。
 そこで、日本の労働者も「ゆとり」のある生活が出来る! との思惑だったのですが実際はどうでしょうか? 私も職業柄、週40時間制に企業が対応する方策を指導した訳ですが、内心複雑な想いがあったのも事実です。
 単純に「週40時間労働」を達成するならば、休日を増加させるか日々の所定労働時間を減少させれば、計算上は容易に達成出来ます。しかし問題なのは、週40時間になっても仕事の量は変わりません。休日が増えた事によって納期がある仕事の場合従来より短時間で仕事を終えなければならない事は説明を必要としません。
 その結果「ゆとり」とは程遠い、休みを得るために必死で残業するといった現象が始まった訳です。当時から、時間短縮は「生産性の向上」を伴わないと何の「ゆとり」も生まないのです。
 本年4月より、学校において「週5日制」がスタートしました。一部の私立学校では当初より採用していませんでしたが、ここに来て「週5日制廃止」を打ち出す学校が出てきたそうです。 理由は、5日の授業では「ゆとり」を持って教育が出来ないとの事ですが。本来「ゆとり教育」を目指した週5日制だったのですが。

 私も日々労務士の仕事をしていて感じるのですが、確かに「ゆとり」を持つ事は素晴らしい事です。しかし、近隣諸国が労働コストの安さを武器に日本の製造業を圧倒しています。そんな状況で、広大な国土も資源も持たない日本が対等に戦う事は容易ではないと内心思っております。 勿論、そんな事は労務士として言うべきでない事ではありますが。
 最近、本当の「ゆとり」とは何だろうと考える事があります。 仕事が楽で、休みが多くて、給与が高ければ「ゆとり」のある生活かも知れませんが、そんなに上手くいきませんね。私が考えるに、仮に土曜日が休めなくても、じっくりと余裕をもって確実な仕事をし、スケジュールを自分で管理して有効に休みを取る。結果的に週40時間を達成する勤務シフトも悪くないと思います。
「ゆとり」を持ちたいと想うのは誰しも同じです。その結果、労働時間は短縮されましたが、それが「ゆとり」に結びついていないのが現状です。我々が本当に「ゆとり」を得るためには、まだまだ取り組まなくてはいけない問題があるみたいです。