2003年5月30日
NO.16 『定期昇給は是か非か!』

                            社会保険労務士 三宅裕樹
 景気はなかなか好転の兆しが無く、日本の株価はバブル崩壊後の最安値付近を彷徨っております。新聞紙上でも、一般市民ですら名前を知っている様な企業が、いとも簡単に倒産の憂き目にあっております。まさに日本経済は、とんでもない状況下におかれています。
 政治や政府の批判をすることは易しい事ですが、経営者たるもの現在直面している問題に対処をしなければなりません。売り上げの増加が見込めない以上、経費を削減するのが経営の常道と言えます。しかし、経費というものは余程の放漫経営をしていた企業ならいざ知らず、そうそう無駄遣いはしていないものです。例えば、中小零細企業で毎月10万円の経費を削減しようと思うと結構大変なものです。「何か削減すべきは・・」と思いつくのが人件費(給与)となります。
 「こんな時期だから、昇給は止めだ!」「毎年給与が上がる事がおかしい! 成果主義で成果があった時に上げるべきだ」 そんな声を最近よく聞きます。
さて、こんな不景気な時期に「定期昇給」をどう考えるべきでしょうか。

 私の持論では「定期昇給」は維持すべきと考えます。しかし「全ての社員が昇給する」訳ではありません。給与は上がる人、そうでない人が存在するのは当然の事です。
 給与の決定要因は様々なものがあります。勿論、職種や成果によって変わるのは当然ですが、ここは視点を変えて「生計費」といったものを考慮する必要があるのではないでしょうか。
生計費とは、読んで字の如く「その人(家族)が生活するのに幾ら必要なのか」を平均的に算出したのが生計費です。年齢や家族、地域によっても当然異なります。
先ず、定期昇給の是非を論ずる前に、ご自分の会社の給与が「生計費」を下回っていないか確かめてみたいものです。
 給与は労働の対価として支払われるものです。家族構成などで左右されるべきものではない。といった意見が存在する事も事実です。私もその意見に異を唱える積もりはありません。しかし、人間である以上、生活が成り立たない賃金では労働意欲も何も沸いてくるものではありません。社会人として家庭を持ち、子供に恵まれ、適切な教育を与えようとすれば生計費に見合った給与は当然必要になってきます。
 私も含めて経営者は「不景気」を理由にしすぎてはいませんか? 今一度、事業を見直し、適切な利益が見込めるように努力をしなければいけません。社員に檄を飛ばす前に、自分自身にも問いかけてみたいものです。