2002年1月1日
NO.3 『不変の論理』
社会保険労務士 三宅裕樹
社会保険労務士に限らず、全ての士業に従事する者は、その分野についてオールマイティであるはずです。しかし、人間である以上得手不得手は必ずあるもので、やはり各々専門分野・得意分野を持っているものです。ちなみに私の場合は、「賃金」を専門としております。賃金とは言っても、賃金計算が専門では無く「賃金体系」の構築を専門としております。 経営者にとって「社員にどれだけの賃金を支払うべきか?」は非常に重要な問題です。勿論、受ける側の皆さんにとっても「うちの賃金は、高い(安い)」は切実な問題ですから、「賃金体系構築」は非常に大切な、やりがいのある仕事です。
そんな大切な「賃金体系」ですから、昔から「唯一不変の論理」が貫かれているかと言えば、答えはNOです。勿論、「労働の対価として、利益を適正に配分する」という原則は当然貫かれているのですが、社会情勢・経済情勢・経営者・労働者の気質の変化に伴い「賃金体系」は変化しているのが現状です。
明治34年 八幡製鉄所 富岡製糸工場の創業時代に始まった「年功賃金・終身雇用」制度は、昭和50年の石油危機まで続きました。その後、前述の石油危機やバブル経済の崩壊等で、賃金を取り巻く環境は激変しております。簡単に申せば、昔の賃金体系は 若い頃は安くて、年齢が高くなる(勤続が長くなる)につれて高くなっていく制度でした。現在では、その弊害を除いて「職能給制度や成果主義制度」等を考慮する体系に変貌しつつあります。しかし、「賃金体系を、そんなにコロコロ変えてもらっては困る!」という意見も少なくありません。
そうです。「団塊の世代のお父さん」から大ブーイングが起こる事がよくあるのです。
そうですよね、彼らの若い時代は「年功賃金」でしたから、給与は安く抑えられており、やっと年齢が高くなってきた頃に「能力・成果」を問われて、パソコン等が上手く操作出来ない「団塊の世代のお父さん」は、非常に厳しい査定をされてしまいます。これでは、立つ瀬がありませんよね。 しかし、昨今の厳しい経済環境は容赦ありません。私も複雑な気持ちで、「賃金体系」を構築する仕事を進めざるを得ません。今になって考えれば、労働の対価である賃金を、年齢や勤続だけで決定していた事自体が不合理であった訳です。本来、能力や成果を基準に考慮・決定する方が理にかなっています。
本来、「賃金体系」等は、不変の論理によって構築されていくべきなのでしょう。しかし、それが出来ていなかった過去があるのも事実です。この仕事に従事する者として、今後はそうあるように、力を尽くしていきたいと考えます。
