2002年1月  日
NO.4 『継承すべきもの』

                      社会保険労務士 三宅裕樹
 多くの男性がそうであるように、私も「車」が大好きです。勿論、人に自慢できる程の車を持っている訳ではありませんが、子供の頃は自動車雑誌等を楽しみに講読していたものです。
 日本で人気のある車種のひとつに、日産自動車の「スカイライン」があります。かつて、「GT-R」の活躍には、自動車小僧であった私も大いに興奮したものです。 
そんな訳で、最初に乗った車も、当時兄が所有していたスカイライン(KGC10)でしたし、その次も(GC110)でした。しかし、その後何台か車を買い換えた訳ですが、スカイラインとは疎遠になっております。原因はひとつ、スカイラインに魅力を感じなくなったからです。
 スカイラインは、日本車には珍しく、伝統を持った車でした。その伝統とは
1)サーフィンラインと呼ばれる、車体側面のプレスライン
2)丸型テールランプ
3)直列6気筒エンジン
等です。百歩譲って、3の直列6気筒エンジンは許せるとしても、1及び2は「どうでもいい」伝統なのです。本来スカイラインの伝統は「俊敏な機動性を持つ乗用車」であるべきなのです。しかし、日産のエンジニアは、かつての栄光や妙な伝統を金科玉条の如く守って、せっせと時代に合わない、魅力の無い「スカイライン」を生み出してきた様に思えてなりません。
 どうも日産自動車のエンジニア達は「継承すべきもの」を間違ったようです。

 企業において継承とは経営者の交代期です。初代(先代)経営者から、次代の経営者に引き継ぐ時、先代の何を引き継ぐ(継承)べきなのか、慎重に考える必要があります。
 確かに、先代(創業者)は、大変なご苦労の上に今日の企業の礎を築かれた事は充分に承知しております。しかし、企業を取り巻く環境は激変しております。次代の経営者が先代から継承すべきものは、創業の精神のみではないでしょうか。昨今の遺伝子工学的に申し上げれば、二代目経営者は先代のDNAを継承すべきであって、先代の「クローン」である必要は無いのです。
 私も、多くの創業者の方々にお会いしておりますが、どなたも強烈な個性の持ち主です。頑固と言えなくもありませんが、その強烈な個性で「俺について来い!」と言わんばかりに、企業を創り上げてこられた方達です。しかし、二代目には、必ずしもそんな「個性」は備わっておりません。創業の精神を継承し、先代とは違った手法で受け継いだ企業の舵取りをする能力が求められるのです。
注)文中の「俊敏な機動性をもつ乗用車」は、スカイライン設計者である桜井真一郎氏がテレビ東京のインタビューを受けた際にコメントされた内容から引用させて頂きました。